あ

アデノウイルス
 カゼや咽頭結膜熱、流行性角結膜炎などの病原体。一九五三年、アデノイドから発見された。
い
咽頭結膜熱 いんとうけつまくねつ
 アデノウイルスの感染により、発熱、のどの痛み、結膜炎などの症状がでる伝染病です。
 プールで伝染することが多いことから、プール熱と呼ばれることもあります。
※発症年齢は幼稚園から小学校にかけてが大部分です。

インフルエンザ
 いんふるえんざ
 インフルエンザウイルスの感染によっておこります。カゼ症候群の一つですが、大規模な流行をおこし、高熱をはじめとする強い全身倦怠症状がでます。
 突然の高熱で発病し、頭痛、腰痛、筋肉痛、関節痛などの全身のいろいろな部位の痛み、全身のだるさ、重病感などがまずおこります。こうした全身症状と同時か少し遅れて鼻水、のどの痛み、せきなどの呼吸器の症状が現れてきます。ときには、下痢、腹痛などの消化器症状がみられることもあります。
え

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 ようけっせいれんさきゅうきん
 溶血性レンサ球菌咽頭炎が口蓋扁桃に感染して毒素を出すため、のどが痛み、高熱を出し、全身に紅い発疹が現れる小児の伝染病です。
 レンサ球菌のうち、Lancefieldの血清型分類のA群に分類されるものによる上気道感染症である。
※3~12歳の小児に多発し、幼稚園や小学校では集団発生することのある学校伝染病の1つです。

か

感染性胃腸炎
 かんせんせいいちょうえん
 毎年秋から冬にかけて流行。乳幼児に好発。嘔吐と下痢を主症状とし、その結果種々の脱水症状、電解質喪失症状、全身症状が加わり、37~38℃の発熱が見られることもあります。症状は個人差が大きく、嘔吐または下痢、腹痛のみの場合もあります。

川崎病
 かわさきびょう(急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)
 急に熱が出て、全身に発疹が現れる原因不明の病気で、主に4歳以下の乳幼児におこります。
 急に熱が出て、全身に発疹が現れる病気は、麻疹、猩紅熱(しょうこうねつ)などが昔から知られていますが、川崎病がこれらの病気と違う点は、病気になった人の5~10%に冠状動脈瘤(心筋に栄養と酸素を送っている冠状動脈の一部がこぶのようにふくらむ)という後遺症がおこることです。冠状動脈瘤が残ると、血液がかたまって冠状動脈がつまる血栓閉塞や動脈瘤の前後が狭くなる狭窄が生じ、子供でも心筋梗塞発作をおこしたり、突然死の原因になったりするこがまれにあります。
 しかし、大部分は、冠状動脈瘤を残さずに治ります。
 川崎病は日本にもっとも多いのですが、世界各国でみられます。
 正式には、急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MCLS)と呼ばれますが、日本の小児科医・川崎富作博士が最初に報告したところから、川崎病という病名が世界共通で用いられています。
き

急性出血性結膜炎
 きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん
 エンテロウイルスの一種であるAHCウイルスの感染によっておこる急性結膜炎です。1969年に西アフリカのガーナで発生し、たちまち全世界に流行しました。この年が、アメリカの月探検ロケット、アポロ11号が月面着陸した年と同じであることからアポロ病とも言われています。
 感染から24時間前後の潜伏期間を経て発病し、結膜(白目)の強い充血のほか、出血をみることもあります。
 また、軽い眼痛をともなうことも多く、角膜(黒目)に多少のびらん(ただれ)を生じ、まぶしさを感じることもあります。症状が急激におこるわりには、治るのは早く、約1週間ほどで自然に治ります。
く

クラミジア肺炎
 くらみじあはいえん(当感染症ではおうむ病除く)
 クラミジアという微生物が感染しておこる肺炎で、下記の2種類があります。いずれもテトラサイクリン系の抗生物質がよく効きます。
○おうむ病
○クラミジア・トラコマチス肺炎
 トラコーマの病原体で、近年、性感染症の病原体としても注目されているクラミジア・トラコマチスの感染が原因の肺炎です。
 性器にこの微生物の感染をおこしている母親から生まれる赤ちゃんが、出産のさいに微生物を吸入しておこることが多いのですが、ときに性行為によっておとなに発症することもあるといわれています。

さ

細菌性髄膜炎 
さいきんせいずいまくえん 細菌性(化膿性)髄膜炎
 細菌感染が原因の髄膜炎で、肺炎球菌、インフルエンザ菌、ぶどう球菌、連鎖球菌、大腸菌、嫌気性菌などが原因菌になることが多いものです。
 中耳炎、副鼻腔炎、肺炎、心内膜炎の原因となっている細菌が髄膜に感染したり、頭部外傷の傷口から直接細菌が侵入しておこります。また、血液中に細菌が入り、敗血症になっておこることもあります。
 心臓病、ガン、白血病、糖尿病、腎臓病などで体力が衰え、免疫機能が低下しているとおこりやすいものです。
す

水痘
 すいとう(水ぼうそう)
 水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって、発熱と共に全身に水疱性の発疹が現れる幼少児に多い伝染病です。
※水痘は一度かかれば二度とかかりません。また、赤ちゃんは母親から受けた免疫体で、生後6ヶ月頃まで罹患しにくいのです。従って2~6歳の小児に多いのですが、小児期に感染をまぬがれて、青年期に罹患する人もあります。

髄膜炎
 ずいまくえん(無菌性髄膜炎)
 脳と脊髄は、脳脊髄膜という連続した膜で包まれています。
 この脳脊髄膜に炎症がおこるのが髄膜炎です。
 細菌、結核菌、ウイルス、真菌などの病原微生物が直接、脳脊髄膜に感染しておこることが多いのですが、ワイル病や梅毒の合併症としておこることもあります。
 そのほかに、ガンなどの腫瘍細胞が脳脊髄膜に転移しておこるものもありますし、サルコイドーシスやベーチェット病などの膠原病にともなっておこるものもあります。
せ
成人麻疹 せいじんましん
=麻疹 はしか

た
ち
腸管出血性大腸菌感染症 ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきんかんせんしょう
 この菌による食中毒の発生は新しく、日本では1984年以降です。
 水様の下痢が頻回におこり、3日目ごろからへそのまわりが強く痛み、血便が数日つづきます。発熱は38度以下で、嘔吐はあまりおこりません。
 井戸水や食肉を介して集団発生することが多く、人から人へ伝染することはまれです。
て

手足口病
 てあしくちびょう
 ある種のウイルスの感染により、軽い発熱と手、足、口に水疱性の発疹が現れる病気ですが、数日で治ります。
※生後6ヶ月から4~5歳までの乳幼児に多発します。

伝染性紅斑
 でんせんせいこうはん(りんご病)
 おもに顔、腕、大腿部に特有な発疹が現れる、軽症の伝染病です。顔は発疹の為リンゴのような紅いほおになりますので、俗にりんご病といわれます。病原はパルボウイルスです。
※3~12歳の学童に多い傾向があります。一度かかれば、二度とかかりません。
と

突発性発疹
 とっぱつせいはっしん
 急に38~39度の熱が出て、3~4日続いた後急に解熱する頃、前進的に発疹が現れて治る病気です。ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)による伝染病ですが、集団発生はありません。
※2歳以下の赤ちゃん、とくに生後6ヶ月から1歳までの離乳期の赤ちゃんがかかります。一度かかれば二度とかかりません。

な
に
日本脳炎 にほんのうえん
 日本脳炎ウイルスによって脳がおかされる病気です。
 初めは高熱、頭痛、嘔吐などがあり、2~3日遅れて意識混濁、けいれんがおこり、かかった人の約20%は死亡し、約20%は治っても知能障害や手足の痙性まひなど重い後遺症が残って廃人同様になり、完全に治るのは50~60%という悪性の病気です。

は

麻疹・痲疹
 はしか
 麻疹ウイルスの感染によって、発熱、せき、目の充血、全身性の発疹などがおこる急性伝染病です。子供のとき一度はかかる病気として軽視されがちですが、体力消耗する思い病気で、肺炎を併発して死亡することもあります。伝染力が強いので、他の子供に伝染しないように療養することが必要です。
※はしかの症状の軽重に関係なく、一度かかれば強い免疫ができますから、二度とかかることはありません。また、生後3ヶ月までの赤ちゃんは、母親から受けた免疫体をもっているのでかかりません。その後は免疫体が減少し、7ヶ月以降明なくなってしまいます。従って生後6ヶ月まではかかる可能性が少なく、かかっても軽症ですが、7ヶ月からはかかりやすい状態になります。
ひ

百日咳
 ひゃくにちぜき
 百日ぜき菌が飛沫伝染しておこる、幼児に多い伝染病で、特有なせきの発作を長期間繰り返しますが、せき発作のない時は健康時と変わりないのが特徴です。
※百日ぜきは母親から免疫を受けつがないので、新生児もかかることがあります。また、一度かかれば終生免疫ができて、二度とかかりません。従って病人は0~3歳の乳幼児が大部分です。
ふ

風疹
 ふうしん(三日ばしか)
 風疹ウイルスが飛沫感染して、およそ三日間の発熱、特有な発疹、目の充血、軽いせき、耳の後ろのリンパ節の腫れなどがおこる伝染病です。病気そのものは悪性ではありませんが、妊娠初期の妊婦が風疹にかかると胎児に影響して、先天性の形態異常児が生まれることがあるので用心しなければなりません。
※風疹は一度かかれば二度とかかりません。また、赤ちゃんは母親から受けた免疫体で、生後6ヶ月頃まで罹患しにくいのです。従って3~10歳の小児に多いのですが、小児期に感染をまぬがれて、青年期に罹患する人もあります。
へ

ヘルパンギーナ
 へるぱんぎーな
 コクサッキーA群のウイルスの感染によっておこる乳幼児に多い夏かぜの一種で、発熱とのどの痛みが主症状です。
※5歳までの乳幼児が90%を占めています。

ま

マイコプラズマ肺炎
 まいこぷらずまはいえん
 肺炎マイコプラズマという微生物が、肺に感染しておこる肺炎です。
 流行性の肺炎で、約4年に一度、小学校、中学校を中心に流行するといわれていますが、近年は、その間隔が長くなったり、短くなったりして不規則になっているといわれます。

麻疹
 ましん
  =はしか

や

ら
り
流行性感冒 りゅうこうせいかんぼう
 インフルエンザウイルスによって起こる急性伝染病。多く冬季に流行する。呼吸器道粘膜にカタル性炎症を生じ、高熱を発し、筋肉痛、全身倦怠、食欲不振などを伴い、急性肺炎を起こしやすい。流感。流行感冒。インフルエンザ。はやりかぜ。

流行性角結膜炎
 
りゅうこうせいかくけつまくえん
 アデノウイルスの感染が原因の結膜炎で、ウイルス感染による結膜炎の代表格です。感染から1週間前後の潜伏期間を経て、発病します。両目同時に発病することもありますし、一方の目だけ発病し、数日してもう一方の目に感染することもあります。
 多量のねばねばしためやにを伴った、濾胞性結膜炎の症状(まぶたの裏側に、小さな水ぶくれの粒ができる)で始まり、そのうちに、涙がたくさん出て目がごろごろする、結膜(白目)が充血する、耳の前のリンパ節が腫れるなどの症状がおこってきます。
 また、乳幼児では、結膜の表面に灰白色の膜(偽膜)がかかることがあります。これをとくに、偽膜性結膜炎と呼ぶことがあります。

流行性結膜炎
 りゅうこうせいけつまくえん
ウイルスにより目の結膜に起こる伝染性の炎症。はやりめ。

流行性耳下腺炎
 りゅうこうせいじかせんえん(おたふくかぜ)
 ムンプスウイルスの感染によって、高熱を出し、片側あるいは両側の耳下腺が腫れて「お多福(おかめ)」のような顔になります。このため、おたふくかぜの俗名があるわけですが、このウイルスはからだの他の部分もおかして、合併症をおこすことが少なくありません。
※2~7歳の幼年期に感染することが多いのですが、この時期に罹患しないで成長し、青年期になって感染する人もあります。しかし幼児は、母親から受けた免疫があるのでかかりません。また、一度かかれば終生免疫ができます。


abc
Adeno =アデノウイルス
CMV =サイトメガロウイルス
Entero =エンテロウイルス
Flu =インフルエンザウイルス
HSV =単純ヘルペスウイルス
Measles =麻疹ウイルス
Mumps =ムンプスウイルス
Para =パラインフルエンザウイルス
Rhino =ライノウイルス
RS =RSウイルス
 RSウイルスは乳幼児気道感染症の重要なウイルスです。
 RSウイルスのRはRespiratoryの略で「呼吸の」という意味だということからもわかるように呼吸器系に感染するのウイルスです。

123
1類感染症
・エボラ出血熱
・クリミア・コンゴ出血熱
・重症急性呼吸器症候群
・痘そう
・ペスト
・マールブルグ病
・ラッサ熱

2類感染症
・急性灰白髄炎
・コレラ
・細菌性赤痢
・ジフテリア
・腸チフス
・パラチフス

3類感染症
・腸管出血性大腸菌感染症

4類感染症
E型肝炎
ウエストナイル感染症
A型肝炎
エキノコックス症
黄熱
オウム病
回帰熱
Q熱
狂犬病
高病原性鳥インフルエンザ
コクシジオイデス症
サル痘
腎症候性出血熱
炭疸
つつが虫病
デング熱
ニパウイルス感染症
日本紅斑熱
日本脳炎
ハンタウイルス肺症候群
Bウイルス病
ブルセラ症
発しんチフス
ボツリヌス症
マラリア
野兎病
ライム病
リッサウイルス感染症
レジオネラ症
レプトスピラ症

5類感染症
全数把握 アメーバ赤痢
急性ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)
急性脳炎
クリプトスポリジウム症
クロイツフェルト・ヤコブ病
劇症型溶血性レンサ球菌感染症
後天性免疫不全症候群
ジアルジア症
髄膜炎菌性髄膜炎
先天性風しん症候群
梅毒
破傷風
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌
バンコマイシン耐性腸球菌
定点把握 RSウイルス感染症
咽頭結膜熱
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
風しん
ヘルパンギーナ
麻しん(成人麻しんを除く)
流行性耳下腺炎
インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザを除く)
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
性器クラミジア感染症
性器ヘルペスウイルス感染症
尖圭コンジローマ
淋菌感染症
クラミジア肺炎(オウム病を除く)
細菌性髄膜炎
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
マイコプラズマ肺炎
成人麻しん
無菌性髄膜炎
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
薬剤耐性緑膿菌感染症
  ©小学館 ホーム・メディカ家庭医学大事典 より引用
  宮城県保健環境センターより出典